相棒はハットトリックなのか

執筆者の紹介
村山:好きなテキストは《もう一人の自分》の「この呪文は打ち消されない。」の理系学生。実際にキャストしたことはリミテッドで1回だけだったが。

過去記事
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0.はじめに

 ハットトリックと聞いて、普通の人はサッカーで同じ選手が1試合に3得点することを思い浮かべることだろう。それは、マジックプレイヤーでも例外ではない。しかし、マジックの用語にもこの「ハットトリック」は存在する。それは下の彼ら彼女らに関するものだ。

ティミー
ジョニー
スパイク

 マジックにおける「ハットトリック」とは、「ティミー・ジョニー・スパイクの3人に気に入られる」ことである。今回はそのティミー・ジョニー・スパイクとは何者なのかを少し紹介したのちに、最近のマジックを騒がせている「相棒」システムに触れていこうと思う。

目次
0.はじめに
1.ティミー・ジョニー・スパイクとは
2.相棒はハットトリックなのか
3.おわりに

1.ティミー・ジョニー・スパイクとは

 マジックのハットトリックについて理解することはティミー・ジョニー・スパイク3名を理解することと等しい。
 簡単に説明すると、
・ティミー:豪快なクリーチャーや呪文が好きなプレイヤー
・ジョニー:コンボデッキが好きなプレイヤー
・スパイク:競技志向の強いプレイヤー
 ということになる。それは先の各種カードにもしっかりとデザインされている。

ティミー

 能力は手札からコスト問わずクリーチャーを戦場に出せるというもの。4マナ払えばタダでクリーチャーを出せる。そんな嬉しいことは他にないだろう。

ジョニー

 能力はライブラリーからカードタイプ問わず手札に加えられるというもの。4マナ払えばタダでサーチできる。そんな嬉しいことは他にないだろう。

スパイク

 能力はゲーム外から構築禁止/制限カードを手札に加えられるというもの。彼ら彼女らにとって見たら4マナも払いたくない。当然のライフペイ。

 このような違いはファッティの好みにも表れている(参考)。

ティミー好み
ジョニー好み
スパイク好み

 このような感じで個性がある彼ら彼女らだが、なぜ設定されているのか。モデルは何なのか。そこにも触れる必要はあるだろう。この3人はマジックプレイヤーを分類することによって、カード開発を進めやすくするために設定された。つまり、モデルは私たちなのだ。各々比重は違えど内なるティミー・ジョニー・スパイクがいるんだろう。そういうプレイヤーに対して受けの良いカードを開発部は刷っているわけである。だから毎セット、豪快な呪文は入っているし、何かしらのコンボに使えそうなカードも入っているし、競技シーンで多く見かけるようなカードも入っているのである。

 さて、ここまでティミー・ジョニー・スパイクについて触れたので、次は本題のハットトリックについて述べていこう。

2.相棒はハットトリックなのか

 「ハットトリック」とは「ティミー・ジョニー・スパイクの3人に気に入られる」ことだと述べた。これは何もカードだけに限ったことではなく、メカニズムについても考えることができるようなのだ(参考)。

 先の参考資料は、Mark Rosewater氏のTumblr(ブログ)なのだが、そこでは「続唱」が「ハットトリック」だとされている。知らない人のために「続唱」の説明を。「続唱」持ちの呪文を唱えると、その呪文のマナコストよりも小さなマナコストの呪文をライブラリーの上からめくってタダで唱えることができます。本体の呪文が打ち消されても「続唱」によってめくって唱えた呪文が打ち消されるわけではないので確実なアドバンテージが約束されています。

《血編み髪のエルフ》

 確かにこのメカニズムはティミー・ジョニー・スパイク3人とも気に入りそうだ。呪文が連鎖する点、ランダム性のある点でカジュアル勢に人気がある一方で、競技シーンでも大いに活躍するメカニズムだ。特に《血編み髪のエルフ》のモダン解禁は衝撃的なものだった。ただ、同時に解禁された《精神を刻む者、ジェイス》のほうがより衝撃的なものだったが。

 こう見てみると、「相棒」は「ハットトリック」ではなかろうか。好きなクリーチャーを自分の相棒として設定できるのはティミーが喜びそうだし、コンボパーツを確定でかつ手札破壊の効かないところにキープできるのはジョニーが喜びそうだし、競技シーンでは文字通り大活躍しているのでスパイクも喜んでいるだろう。

 だが、実際にはあまり良い噂を聞かない。それはわざわざ良い噂を流す人が少ないのと、本当にあまり良くないと思っている人が多いんだろう。「ハットトリック」なはずなのに良くないと思う人が多いのは、再現性の高さに嫌気がさしているんだろうか。誰が使ってもそのリストなら特定の相棒が控えているので、それに飽きてしまうのは理解できる話だ。ただ、個人的にはスタンダードはある程度こうなってしまうのはしょうがないと思っている。カードプールが狭いので。スタンダードにしてはアーキタイプが多いとも思っているほどだ。

 下環境、例えばモダンに関しては、多分大丈夫だと思っている。このフォーマットは《苦花》解禁にも《祖先の幻視》解禁にも、ましてや《血編み髪のエルフ》《精神を刻む者、ジェイス》《石鍛冶の神秘家》解禁にも耐えられたフォーマットだ。一時的に荒廃に傾斜した『戦乱のゼンディカー』ブロックによるエルドラージ襲撃にも《ウギンの目》を取り上げることで対処した。プロツアー『イクサランの相克』で「ランタン・コントロール」が優勝することを、Top4に「マルドゥ・パイロマンサー」と「赤黒ホロウワン」が入ることを、誰が予想できただろう。

3.おわりに

 相棒に飽き飽きだ。そんな人には相棒システムがないフォーマットがおススメだ。つまり、旧枠モダンということになる。知らない場合はこちらから。マジックがより良くなることを願って。ではでは。

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